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三楽 3LUCK 造園設計・施工・管理 樹木樹勢診断・治療

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2010年 10月 09日

錦鯉

知人からの紹介で今年の春から庭木の手入れにお伺いしているお客様の趣味は「庭と錦鯉」
農業のかたわら、いろいろな趣味を楽しんでいらっしゃいましたが、最後に行き着いたのが「庭と錦鯉だったそうです。
錦鯉_c0112447_9141951.jpg

各地の名園を歩き、石や庭木を買い求め、庭師に頼んで庭を作り、錦鯉の産地、新潟県山古志村まで好みの鯉を求めて走るという数寄者です。
庭も含め、日本の伝統的な美術、工芸、建築の世界はこうした数寄者、旦那衆に支えられていたと言っても過言ではありませんが、最近はなかなかお会いすることは出来ません。
庭の好みは人それぞれですが、その審美眼には全く驚かされます。

そもそも庭の手入れの依頼をいただいたのも、今までお願いしていた多くの庭師さんでは自分の理想とする樹木の姿にならなくて探していらっしゃっていたとのこと。
そのコダワリはプロの庭師さんの口からもナカナカ聞くことの出来ないような仕上げばかり。
「どこのお寺のあそこの松の枝ぶりに近づけて行きたい」「この枝のバランスが悪いのでもう少し伸ばして」などなど・・・

おじいさん曰く、「ワシが死ぬまでに理想の庭の姿になんとかして欲しい」。

こうなると僕もお金とか仕事とか関係なくなってきてしまいます!職人にとってこれほど名誉で、力が入ることはありません。任せてください!
春は松の芽摘み、そしてこの秋から本格的に庭木の剪定方針を変えていきます。
まずは刈り込まれてしまったモミジを自然樹形に形を作り直していきます。
錦鯉_c0112447_9135415.jpg


しかし、錦鯉が泳ぐ池。あまりにも日本的というか?興味も持っていなかったのですが、休憩の合間に池の横に座ってお茶を頂く時間のなんと落ち着くことでしょう。
優雅に鯉が泳ぎ、水音が心地よく響く。「こんなに心地よいものなんだ!」
モノを作る人間は自分にとっての心地よさの物差しが一番大事。面白いことを教えてもらいました。

そういえば、ガーデン資材の仕入れでイギリスに連れて行ってくれた知り合いは日本から錦鯉を輸出してイギリスからガーデングッズを仕入れてくるのを生業としていました。文化の架け橋になりたいということで。
イギリスでは庭で錦鯉を飼うのがステータス。巨大なガーデンセンターには錦鯉や関連資材の販売が大きなスペースを占めていました。それは驚くほどの力の入れようです。錦鯉の供給源は日本とイスラエル。
日本で始まった庭園の池で錦鯉を愛でるという喜びは海を渡り世界で楽しまれているのです。

by sanrakugarden | 2010-10-09 09:28 | Comments(6)
Commented by グリーンスペースの弟 at 2010-10-09 10:05 x
お久しぶりです。
いつもブログをチェックさせてもらっています。
以前に京都迎賓館で池の鯉が綺麗だと兄と話していたら「鯉もお庭のデザインの一部なのよ」と近くにいたおばさんに教えてもらったんです。「そうかー」とすごく納得したのを思い出しました。
Commented by sanrakugarden at 2010-10-09 10:46
じろちゃん、久しぶり!コメントありがと。「鯉も庭のデザインの一部」かぁ。面白いなぁ。人間が植物や石、自然の営み、時間までも力に借りて作る庭作りってスゴイことだよね。
視覚情報だけでなく、心や五感に訴えかけられるものを作っていきたいね。また会えるの楽しみにしています。
Commented by sanrakugarden at 2010-10-12 06:24
雲三さんありがとう。金造さん、大造さんがお二人で動くこともあるのですね?よっぽどのことが松江にあったのでしょうか?
なんとなく松江城とは雲三さんらしい・・・(笑
Commented by 雲三 at 2010-10-12 19:06 x
職人を育ててくれるお施主さん、とても少なくなりました。
いいお客さんに巡り会いましたねー。 これも伸ちゃんの日々の努力の賜物ですね。

昨日なんとなく立ち寄った松江城で、金造さん・大造さん親子にお会いしました。突然だったのでビックリでした。少しは繋がっているのか?
Commented by 雲三 at 2010-10-16 00:55 x
どーも 失礼しました。

The Open Mind of Lafcadio Hearn 小泉八雲に捧げる造形美術展 というのが松江城で開催され、オープニング・セレモニーに参加されたようです。
もちろんお二人の作品も展示して在ります。

じつは先週もお茶会の手伝いで二日間行ってました(笑)。でもその時はあまりぷらぷら出来なくて、河井寛次郎展に行く前になんとなく寄ってしまいました。

今年三度目ですから、さすがに覚えてもらい楽しいひと時でした。




Commented by sanrakugarden at 2010-10-16 08:27
西村さんも新しい造形の可能性を探っていらっしゃるそうですね。我々も常に今までの自分を壊して、再構築をし続けなければいけませんね。枠を飛び越える難しさを実感しています。
それにしても今年になって三回め西村さんにお会いになったということはそれだけ動いているってことだね。


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