まだまだ、赤松・黒松・五葉松の芽摘みが続きます。
松の手入れをすると松ヤニで手が荒れてササクレます。親指から中指までは芽をむしるのに手袋が出来ないため、軍手の指先を切り落とし、爪の周りだけテープの絆創膏を貼るのが今のところ一番効率良さそうです。
木に登っていると、樹皮にはいろんな卵や虫が。害虫も益虫もいろいろです。(人間の勝手な分類ですが・・・)
テントウムシの卵
アブラムシを大量に食べてくれるので、大事に残しておきます。
樹皮が剥がれてくるのは松が健康で肥大成長している証。
どこに力がかかっていて、どこが成長しているかが?良く分かります。
樹皮を綺麗にそぎ落としてあげると、樹皮の美しさばかりではなく、害虫の駆除や卵の駆除も一緒に行えます。害虫と益虫のバランスがとれてきたためここ10年は消毒なしでも目立った被害はありません。
ようやく大物の姫五葉松の芽摘みが終わりました。
芽摘みにはキリバシが最適です。
通常使うサイズより小ぶりに打ってもらったキリバシ。
右が「大覚寺の野中 鉄治郎氏」の通常サイズ。左が京都市南区の鋏鍛冶、「先代の安広」さんの小ぶりサイズのキリバシです。
小ぶりのキリバシは鋏を手の中に収めたまま、芽摘み、葉むしりの作業が出来るため格段に作業効率が良いです。
毎年芽摘みをしている五葉松は葉が短く、芽が細かく分岐しているので、そのまま芽を伸ばすと大変混み合ってしまいます。
鋏を入れて、枝を抜き、芽数を整えて、芽を摘んでいきます。
写真の上部が作業後、下が作業前。
京都での修行を終えて松本に帰ってきて、初めて剪定の仕事を任せてくれたのがこちらのお客さんでした。
専業農家の傍ら、盆栽を数百鉢そだてる数寄者でした。
庭木が好きな方でも、姫五葉松まで芽摘みをさせてくれる方はそうはいません。
今はお年を召され、盆栽はすべて処分され、残ったのは16年前に手入を任せていただいたお庭に残る植木だけです。
今日もおじいさんは朝から夕方まで、不自由になった足を引きずって、カートに腰を掛け、一日中剪定を見てくれています。
「いい松になったなぁ」しみじみとおっしゃいます。
「俺が死ぬまでは頼むなぁ。あとはどうなるかわからんけど・・・」